
オーラルフレイル対策
平均寿命と健康寿命の差を縮めるために
日本の高齢者の皆様において、平均寿命と、健康的で自立した生活ができる「健康寿命」の間には少なからぬ差があることが公的なデータから分かっています。男性は約9年間、女性は約12年間、何らかの介護や支援を必要とする期間が続く傾向にあります(出典:厚生労働省「健康日本21(第二次)各目標項目の進捗状況について」)。
このような要介護状態や寝たきりを防ぎ、健康的で満足度の高い日常生活を維持するためには、身体の虚弱に先立って起こる「お口の虚弱(オーラルフレイル)」への対策が欠かせません。
お口の健康状態が
将来の生活に与える影響
HEALTH RISKS & RECOVERY
「噛めないこと」が招く、
将来の介護リスク
お口の機能が衰え、硬いものを避けるようになると、食事の選択肢が狭まり、必要な栄養素が不足しやすくなります。特に、2週間寝たきりの生活を続けると、約7年分の筋肉量を失う可能性があると指摘されています。筋肉を維持・回復させるためにはタンパク質の摂取が不可欠ですが、年齢を重ねるにつれて、若い頃と同じ量を摂取しても筋肉へと変換する効率が低下するため、高齢期ほど積極的なタンパク質(肉や魚など)の摂取が求められます。しかし、噛む力が衰えている口腔内環境では、お肉などの硬い食品を食べることが難しくなり、結果として低栄養状態を招きやすくなります。これが高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの全身疾患を悪化させ、さらに脳梗塞や心筋梗塞といった要介護につながる深刻な状態を引き起こす原因となるのです。
50代から失われやすい
「第一大臼歯」の重要性
お口の中で硬いものをしっかりと噛みくだくためにとても重要な役割を果たすのが「第一大臼歯(だいいちだいきゅうし)」と呼ばれる大きな奥歯です。統計的には、50歳を迎える頃までに約3割の皆様がこの第一大臼歯を失ってしまうという実態があります。この重要な歯を失ったまま放置したり、合わない入れ歯を使い続けたりすると、噛み合わせのバランスが崩れ、さらに他の歯を失う悪循環に陥りやすくなります。第一大臼歯をはじめとする奥歯の噛み合わせを適切に修復し、しっかりと咀嚼できる環境を維持することは、健康寿命を延ばすための基盤となります。
認知症や全身疾患に関わる「口腔機能低下症」
近年、テレビや雑誌などの各種メディアでも「オーラルフレイル」や、それが進行した病態である「口腔機能低下症」という言葉が多く取り上げられるようになりました。お口の機能を維持することは、全身の病気予防だけでなく、認知症の発症リスクを抑える観点からも極めて重要であることが医学的な研究によって明らかになっています。
シニア世代から意識したい、認知症とお口の健康
認知症基本法が成立するなど社会全体での対策が進む中、現代の日本では65歳以上の高齢者の皆様のうち、約5人に1人が認知症を発症すると見込まれています(出典:厚生労働省等による公的試算)。近年の研究データでは、残っている歯の数が少なく、適切に噛むことができない状態にある方は、歯が残っていて十分に噛むことができる方に比べて、認知症になるリスクが高まることが示されています。義歯(入れ歯)を装着してしっかりと咀嚼機能を回復させることで、認知症のリスクを抑えられるというデータもあり、美味しく食事をすることは、ご自身だけでなくご家族の負担を軽減するためにも大切な取り組みです。
食事の変化で気づく、
お口の機能低下のサイン
口腔機能低下症やオーラルフレイルは、急激に進行するものではなく、日常の些細な変化から始まります。そのため、ご自身やご家族が初期のサインを捉え、適切な段階で検査を受けることが大切です。
このようなお悩みはありませんか?
オーラルフレイルの最初の段階として現れやすいのが、「最近、硬いものが食べにくくなり、食べられる食品の種類が減ってきた」という自覚症状です。そのほかにも、以下のような症状はお口の周囲の筋力や唾液分泌量が低下しているサインかもしれません。
食事中によくむせる
口が乾きやすい
滑舌が悪くなった
食べこぼしが増えた
もしこのようなお口の変化に心当たりがある場合は、放置せず、お早めにかかりつけの歯科医院にご相談ください。
お口の健康寿命を延ばす、
当院の検査と体制
患者様が生涯おいしく食事を楽しめるよう、こだわり検査設備と専門スタッフが緊密に連携した包括的なアプローチを行っています。

歯科用CTによる多角的な
精密検査口腔機能低下症やオーラルフレイルの検査では、骨の厚みや歯ぐきの内側の状態まで詳しく把握することが大切です。当院では専用のレントゲン室に加え、3次元立体画像が撮影できる歯科用CTを導入し、客観的なデータに基づいた細かな分析を行っています。

モニターを用いた
分かりやすい治療計画患者様の不安に寄り添い、丁寧なコミュニケーションを大切にしています。お口の機能維持に向けた計画では、多数の説明用資料をモニターでご覧いただきながら分かりやすくご説明します。お悩みやご要望に耳を傾け、無理のない計画を一緒に立てていきます。

2名の院内技工士による
精密な入れ歯作製当院には2名の院内技工士が常駐しており、歯科医師と密に連携しながら、お一人おひとりのお口に合う精密な技工物を作製しています。丁寧な作製に取り組み、もう一度「美味しく食事をする」ためのお手伝いをいたします。

歯科衛生士による
メインテナンス当院には4年以上の経験を持つ4人の歯科衛生士が在籍。アットホームで話しやすい環境ですので、シニアの皆様や親御様も気兼ねなくご相談いただけます。
RESERVATION & ACCESS
お口の機能や噛み合わせに関する
ご相談・ご予約について

井坂歯科医院では、口腔機能低下症の検査やオーラルフレイルに関するご相談を随時受け付けています。当院の受付やお電話にて、患者様のご都合に合わせた予約時間の調整を行います。阿南駅から徒歩5分、国道55号線からのアクセスも良好で、駐車場も8台分完備しているため、美波町などの周辺エリアからも車でご来院いただきやすい環境です。少しでもお口の機能に不安がある方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
口腔機能低下症のよくあるご質問
FAQ
口腔機能低下症の検査や治療には保険が適用されますか?
はい、一定の要件を満たす患者様を対象に、口腔機能低下症の検査および管理指導には健康保険が適用されます。検査によってお口の機能低下(唾液量の減少、噛む力の低下、舌の運動機能低下など)が認められた場合、保険診療の範囲内で定期的な口腔機能管理やトレーニングの指導を受けることが可能です。詳細な適応基準については、お口の状態を拝見した上でご説明いたします。
オーラルフレイルと口腔機能低下症の違いは何ですか?
オーラルフレイルは、お口の機能の軽微な衰えや関心の低下を含む「状態」を指す概念であり、予防や啓発の文脈で広く使われます。一方、口腔機能低下症は、オーラルフレイルが進行し、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)などの機能低下が客観的な検査によって確認された段階で下される「病名」です。病名がつく段階になると、保険診療での計画的な介入やリハビリテーションが可能になります。
入れ歯が合わないのも口腔機能低下症の原因になりますか?
はい、合わない入れ歯を無理に使い続けたり、歯を失った部分を放置したりすることは、噛む力の低下に直結するため、口腔機能低下症を引き起こす大きな要因となります。第一大臼歯などの重要な歯でしっかり噛めなくなると、柔らかいものばかりを好むようになり、お口の周りの筋肉や舌の機能がさらに衰える悪循環に陥ります。当院では院内技工士と連携し、お口に合う入れ歯の調整を行うことで、咀嚼機能の回復をサポートしています。
自宅でできるお口の機能維持の方法はありますか?
ご自宅で取り組める方法としては、毎食後にしっかりと歯みがきや歯ぐきのケアを行い、お口の中を清潔に保つことが基本となります。それに加え、よく噛んで食事をすること、おしゃべりや音読、簡単な「お口の体操(舌や頬を動かす運動)」を行うことが、口腔機能の維持に役立ちます。定期検診の際、当院の歯科衛生士が患者様のお口の状態に合わせた具体的なセルフケアや体操の方法をご案内しております。
まだ要介護状態ではないのですが、相談してもよいでしょうか?
もちろんです。「最近、食べこぼしが増えた」「硬いものが噛みにくくなった」「お茶を飲むときにむせることがある」といった些細な変化を感じた段階でご相談いただくことこそが、将来的な要介護状態や寝たきりを防ぐために極めて重要です。お口の機能の衰えは早期に発見し、適切なメインテナンスや訓練を行うことで、維持・改善を目指すことができます。お気軽に当院までお問い合わせください。